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私は1988年4月に診療所を開設いたしました。1979年に東大形成外科へ入局し、関連病院にて麻酔科や一般外科の研修を重ね、早くから開業を見据えた手技の習得に努めてまいりました。退局前に福田修教授からの勧めで携わったコラーゲン治療の治験において、シワに対する高い治療効果を確認したことが、開業後の専門性を決定づける重要な機会となりました。
先輩医師らのクリニックへ通い助言を得つつ、物件探しや設備導入、求人手配を自ら手掛けました。さらに各種法規の確認や社会保険手続き、財務管理といった事務作業も外部へ任せきりにせず、自ら調査・手続を実行しました。この経験が、開業後の円滑な組織運営や危機管理における強固な基盤となっています。
開業して最初の2ヶ月間は患者様が来院されず、固定費の支払いのみが先行する苦しいスタートでした。しかし3ヶ月目以降、大学病院時代に培ったコラーゲン注入治療の評判が浸透し、患者様が増え始めました。当時は一時的な処置と捉えられがちだった注入療法ですが、現在では美容医療のスタンダードとして広く認められています。
現在は神田駅前のビルにて、患者様のプライバシーに配慮した診療を行っています。待合室では患者様同士の視線が合わないようレイアウトを工夫し、予約制でゆったりとお過ごしいただける環境を整えました。また、注入治療を中心とした無理のないスムーズな診療体制を構築しています。
これまでの経験から、これから開業を迎える先生方へ伝えたいポイントは3つあります。
諸手続きや実務の仕組みを理解するため、可能な限り自力で開設手続きを行ってみることをおすすめします。
形成外科・美容外科の治療の中で、自分が最も自信を持って提供できる柱となる治療法を考えておくことが大切です。
徹底した守秘義務教育とともに、長く安心して働ける環境を作ることが、質の高い医療サービスにつながります。

処置室とリクライニングチェア:主にここで注入治療を行う。

注入治療時の様子:上口唇にコラーゲン製剤を注入している。
本稿は、征矢野進一【特集】クリニック開業―知っておきたい13のヒント―「神田で美容外科を開業して31年」形成外科 第63巻第2号を元に構成しています 。
1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。