ヒアルロン酸・ポリ乳酸

ヒアルロン酸・ポリ乳酸

顔面のシワや組織の陥凹に対する治療として各種の注入製剤が用いられている。本稿では、顔のシワや頬の陥凹を主訴とした3例に対し、ヒアルロン酸製剤(Restylane、Esthelis basic)およびポリ乳酸製剤(Sculptra)を使用した経過を報告する。

【症例1】鼻唇溝のシワ(ヒアルロン酸・コラーゲン注入)

54歳女性の鼻唇溝のシワに対し、事前にアテロコラーゲンインプラントとZydermの皮内テストを行ったところ、Zydermに陽性反応を示したため陰性であったアテロコラーゲンインプラントにて治療を開始した。補正注入を含め継続して使用されたが、同製剤では効果持続期間が短かったため、患者の希望によりヒアルロン酸製剤(Restylane)に変更された。皮内テスト陰性を確認後にRestylaneを注入したところ、数日間は赤みや針跡が見られ、数ヶ月間は硬さや軽度の色素沈着を認めたが、6ヶ月後もシワの改善効果が維持された。

54歳/女性/1991年9月初診/鼻唇溝のシワ、治療前

鼻唇溝にヒアルロン酸(Restylane)を注入して6カ月後。シワが目立たなくなっている

【症例2】額のシワ(ヒアルロン酸注入)

額のシワに対する改善度を確認したいという希望で受診した60歳男性に対し、ヒアルロン酸(Esthelis basic)の皮内テストを行い、陰性であることを確認した上で額の右半分に注入した。治療後1ヶ月程度は注入部位にミミズ腫れ状態がみられたが、治療を行った右半分のみシワが目立たなくなった。

60歳/男性/2006年8月初診/額のシワ、治療前

額のシワの右半分にヒアルロン酸(Esthelis basic)を注入して1カ月弱後。治療をした右半分のみ、シワが目立たなくなっている

【症例3】左頬の陥凹(ポリ乳酸製剤「Sculptra」注入)

左頬の陥凹を主訴とした37歳女性に対し、脂肪採取手術を好まなかったためポリ乳酸製剤(Sculptra)を選択した。生理食塩水で溶解したSculptraを3週間間隔で計5回皮下に注入したところ、開始5ヶ月の時点で陥凹の改善が認められた。その後3年程度経過するが、副作用や再発は認められていない。

37歳/女性/2003年3月初診/左頬の陥凹、治療前

治療後5カ月/ポリ乳酸製剤(Sculptra)を5回注入した後,陥凹は改善して、とくに副作用などもみられなかった

【本症例のポイント】

コラーゲン製剤のアレルギーテストと製剤の変更

ウシ由来コラーゲン製剤の使用にあたっては事前に皮内テストを行い、陰性のものを使用する。一方の製剤で陽性が出た場合は陰性のものを用いることになるが、製剤ごとに持ち上げる力や持続期間が異なるため効果が不足することがある。その場合、原料の異なるヒアルロン酸製剤を用いることが選択肢となる。

ヒアルロン酸製剤「Esthelis basic」の特徴

Esthelis basicはRestylaneと異なり、注入部位の硬化や色素沈着がおきにくく、額のような部位に用いても違和感を生じさせない。ハーフサイドテストにおいてもシワの改善効果が確認できる。

ポリ乳酸製剤「Sculptra」の適用

Sculptra単独の使用により、脂肪採取を行わず頬の陥凹を改善できた。数回の注入が必要となるが、治療後の通院や処置がほとんど不要な点も特徴である。

本稿は、征矢野進一「ヒアルロン酸・ポリ乳酸」(『Visual Dermatology』2007年Vol.6 No.4(4月号))を参考に構成しています。

1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。

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