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本稿では、皮膚のシワや凹みの治療に使われる4種類の注入製剤(コラーゲン、ヒアルロン酸、ボツリヌス毒素、ポリ乳酸)の適応や注入手技について検証しました。頻用されるコラーゲンはヒト由来の流通によりアレルギー面での信頼性が向上している。ヒアルロン酸は持続力に優れるものの適応部位の慎重な選定が必要であり、ボツリヌス毒素は額や目尻のシワに対する補助的アプローチとして効果を発揮する。また、数年に及ぶ作用をもつポリ乳酸は、限られた症例において選択肢となる。
生体内に多く存在するタンパク質を応用したもので、事前の皮内テストが必要なウシ由来と、アレルギーの懸念が少なく安全性の高いヒト由来(各種製剤)に大別される。
タンパク質を含まないため皮内テストが不要とされており、複数のブランドや製品が臨床現場で取り入れられている。
神経と筋肉の接合部に作用して収縮を抑え込む菌体外毒素であり、専用製剤を用いてシワへのアプローチを行う。
液体に微粒子を混ぜ合わせた合成高分子であり、へこんだ部位を持ち上げる目的で使用される。
コラーゲンは組織への馴染みや浅層へのアプローチに優れ、ヒアルロン酸は強い隆起力で深い凹みに対応する。ボツリヌス毒素は表情筋の過度な動きを抑える目的で短周期の施術が必要となり、ポリ乳酸は遅れて効果が現れるため慎重な経過観察が求められる。
加齢や表情の変化に伴って生じる額・眉間・目尻のシワ、鼻唇溝のほか、各種の陥凹や傷跡などが主要な改善のターゲットとなる。
ウシ由来コラーゲンを扱う前の問診や皮内テストの徹底をはじめ、各製剤特有のリスクや不適合部位を把握した上で、安全面に配慮しながら慎重に投与する必要がある。
ザイダームやアテロコラーゲン(2%)を用いた処置を実施した。

40歳女性 下眼瞼(下まぶた)の皺(しわ)。ザイダーム Iおよび アテロコラーゲン2% による治療前

治療から2週間後。皺は見られなくなっている。
部位ごとの深さや形状に合わせて、ザイダームIIやザイプラストなどを適宜組み合わせて注入した。

68歳女性 鼻唇溝(ほうれい線)および上唇の皺(しわ)。ザイダーム I 、ザイダーム II 、およびザイプラストによる治療前

治療から2週間後
長年の臨床実績から安全性が裏付けられている一方で、動物由来品にはアレルギー対策としての皮内テストが不可欠である。近年導入されたヒト由来製剤は、このテストを省略できるメリットを持つ。
アレルギーの心配は基本ないものの微量タンパク質による発赤のリスクが稀にあり、硬さや硬結感を考慮して皮膚の厚い部位への適用が推奨される。
表情ジワへの併用効果や、深い陥凹に対する長期的な持続力などがそれぞれの強みであるが、適応を見極めた運用が不可欠である。
刺入時の痛みや皮下出血のほか、過剰な濃度による凹凸(ビーズ反応)、皮膚壊死、膿瘍、遅延型陽性反応といった副作用への十分な注意が呼びかけられている。
本稿は、征矢野進一「注入療法について」(皮膚の科学・第4巻・第6号・2005年12月)を参考に構成しています。
1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。