

日時:2024年7月28日(日)
講師:征矢野進一 医学博士(Shinichi Soyano M.D.)
場所:大連、 中国(Dalian Municipal Central Hospital)
美容医療における注入療法を安全に実施するために必要な解剖学的知識の解説と、注入治療で使用される材料の特性や適切な注入層、痛みの管理法、そして重篤な合併症である失明の予防法と対処法を具体的に説明しました。
注入の対象となる軟部組織の層構造を正確に把握することが必須で、特に次の層の特性を理解する必要があります。
材料ごとに適切な注入層が異なり、それを誤ると効果が得られないだけでなく、合併症のリスクも増加します。
注入時の痛みを軽減するために神経ブロックが推奨されています。具体的には以下の神経に対してリドカインを用いた局所麻酔を実施します。
A、B:眉上神経の神経ブロック:額および眉間への麻酔、リドカイン0.5%を0.1〜0.5ml使用
A:眼窩下神経(下眼瞼、上唇、鼻唇溝、頬内側の麻酔)
B:オトガイ神経(下唇、口角の麻酔):リドカイン0.5%を0.1〜0.5ml使用、目尻と頬外側部には局所麻酔クリームを使用
注入療法で最も深刻な合併症は失明です。その原因は、顔面動脈と内頚動脈の異所的吻合部位を通じて、注入材料が網膜中心動脈に流入することにあります。
注入された物質がヒアルロン酸の場合、24時間以内にヒアルロニダーゼを眼球後方に注入することが有効
美容医療での注入治療には、顔面各部位における軟部組織の解剖学的構造と特徴に関する深い知識が必須です。皮膚や筋肉の厚さ、位置関係を正確に理解することが安全かつ効果的な注入療法の基本となります。
1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。