内径が太く外径の細い針の使用経験

内径が太く外径の細い針の使用経験

はじめに

従来、注入治療には30G、またはそれ以上の太い外径を持つ針を使用してきた。30G針は外径0.3mm、内径0.16mmであり、コラーゲン製剤、ヒアルロン酸製剤、ボツリヌストキシンなどの注入において、一般的に用いられていた針である。
2010年4月以降、外径をより細くしながら注入に必要な内径を確保したJBP Nanoneedle 33Gおよび34Gを用いて、100症例以上の注入治療を行った。33Gは外径0.26mm、内径0.16mm、34Gは外径0.2mm、内径0.1mmであり、従来の30G針と比較して、治療直後の針痕や赤みを軽減できるかどうかを臨床上の使用経験として検討した。

注入用製剤と注入用針

今回の注入治療では、ウシ由来コラーゲン製剤、ヒアルロン酸製剤、ボツリヌストキシンを使用。
ウシ由来コラーゲン製剤では、高研社のコーケンアテロコラーゲンインプラント® 1%、2%、3% および Zyderm® 2 を用いました。これらの製剤は、注入前に皮内テストが必要です。
ヒアルロン酸製剤では、Allergan 社の Juvederm®、Anteis 社の Esthelis® soft と Esthelis® basic、Viatal Esthetique 社の Hyaluronica® などを使用。
ボツリヌストキシンでは、Allergan 社の Botox Vista®、Merz 社の Xeomin® などを用いた。
従来使用していた注入用針は、Becton & Dickinson Hypoint 30 G、Becton & Dickinson Precision Glide 30 G、Kendall Monoject 30 G などの 30 G が中心でした。2010 年 4 月以降は、日本生物製剤の JBP Nanoneedle 33 G と 34 G の 2 種類を新たに使用した。

治療対象

注入治療を行った部位は、顔面の細かい皺から陥凹までさまざまです。
主な治療部位は、額、眉間、下眼瞼、目尻、鼻唇溝、口角、口唇、頬、顎の皺などでした。

治療の手技

事前準備

ウシ由来コラーゲン製剤では皮内テストが必須ですが、他の注入剤を使用する場合にも、前腕などで皮内テストを行うことが安全であると考えた。
痛みに弱い患者には、注入部位の疼痛を軽減するため、痛み止めの外用薬や神経ブロックを行いました。外用薬としてはペインブロックやペンレスを用い、神経ブロックとしては眼窩上神経、滑車上神経、眼窩下神経、オトガイ神経への処置を行いました。

注入用製剤の選び方

注入用製剤は、製剤の性質、皮膚の厚さや色調、希望する改善度に応じて選択。
皮膚の薄い部位の皺には、コラーゲン製剤では低濃度のものを、ヒアルロン酸製剤では低架橋のものを用いました。初回治療では使用量を控えめにし、1~2 週間程度経過をみてから追加注入を行うことが多くありました。

長期間の効果を目的とする場合は高濃度または高架橋の製剤を選択しましたが、これらは細い針での注入が困難なため、今回の対象には含めていません。

結果

30G針と33G、34G針を比較したところ、33Gおよび34Gを使用した症例では、治療直後の赤みや針痕が目立ちにくい傾向がみられた。
額の皺に対するボツリヌストキシン注射では、30G使用時に赤みやわずかな出血がみられたが、34G使用時には赤みが軽度で、針痕も目立ちにくかった。
下眼瞼陥凹に対するアテロコラーゲン注入では、30G使用時に針痕や出血がみられ、数日程度残ることがあった。一方、34Gを使用した際は針痕が小さく、翌日には目立たなくなった症例もあった。治療効果については、30G使用時と同程度であった。
また、鼻唇溝や口角の皺に対する治療では、30G使用時に比べて33G使用時の方が治療直後の赤みが少なかった。
以上より、33Gおよび34Gの使用により、注入治療後の赤みや針痕を軽減しやすく、回復までの時間も短くなる傾向が確認された。

考察

注入治療後には、針痕、内出血、腫れなどが生じることがある。これらは通常、数日から2週間程度で軽減するが、回復までの期間を短くすることは、患者の負担軽減につながる。
今回の使用経験では、針が細いほど針痕は目立ちにくい傾向がみられた。一方で、内径が細くなると注入時に必要な圧力が高くなるため、製剤によっては注入しにくくなる場合がある。
JBP Nanoneedle 33Gは、従来の30Gと同等の内径を持つため、針痕を抑えながら、比較的スムーズに注入できた。34Gはさらに針痕を抑えやすいが、粘度の高い製剤では注入抵抗が大きくなるため、製剤の性質に応じた使い分けが必要であると考えられた。

まとめ

今回、JBP Nanoneedle 33Gおよび34Gを用いて100症例以上の注入治療を行い、その使用経験を報告した。

Needles for injection treatment. 18G, 23G, 25G, 27G, 30G, 33G and 34G (from the left)

5 minutes after injection of Xylocaine® with epinephrine using 23G, 25G, 27G, 3 G, 33G, and 34G needles

本稿は、征矢野進一「内径が太く外径の細い針の使用経験」日本美容外科学会会誌 第33巻第3号を元に構成しています 。

1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。

執筆者