メディカルケアメイク:皺とり—注入療法による—

メディカルケアメイク:皺とり—注入療法による—

はじめに

切開を伴わない注入治療(コラーゲン、ヒアルロン酸、ボツリヌス毒素、ポリ乳酸など)は、手軽にシワや陥凹を改善できる点がメリットです。しかし、治療の完成度や満足度は、施術そのものだけでなく術後のメイクアップによるフォローにも大きく左右されます。

使用材料

1.コラーゲン製剤

米国Inamed社の「ザイダームI・II」「ザイプラスト」や、国内高研社のアテロコラーゲン(1〜3%濃度)を仕様。2003年4月からはヒト由来コラーゲン(コスモダームI・コスモプラスト)も使用しました。

2.ヒアルロン酸製剤

Genzyme社製の「ハイラフォーム」シリーズ(ファインライン、プラス等)や、Q-med社製の「レスチレン」シリーズ(ファインライン、パーレイン等)などを使用。

3.ボツリヌス菌毒素製剤

代表的な製剤としてAllergan社の「ボトックス」が中心的に使用されているほか、Ipsen社の「ディスポート」を使用。

4.ポリ乳酸製剤

Biotech Industry社が手掛ける「ニューフィル」が用いた。

注入治療の方法

1.コラーゲン製剤

局所麻酔成分(リドカイン)が含まれているため、問診でのアレルギー確認に加え、投与4週間前までに腕への事前皮内テストを行うルールとなっています。アレルギー反応が認められない(陰性)患者に対してのみ真皮浅層へ注射し、2週間後に経過観察を行います。

2.ヒアルロン酸製剤

アレルゲンとなるタンパク質を含まないため事前テストが不要で、コラーゲンに過敏症のある方やヒアルロン酸でのアプローチを希望する方に選ばれます。コラーゲンより一段深い真皮層に注入し、2週間後に状態を確認します。

3.ボツリヌス菌毒素製剤

表情筋の動きによって生じる動的ジワに有効です。事前に自然な表情を観察してターゲット部位を定め、生理食塩水で希釈した製剤を適量注ぎます。温度変化に弱いため保管管理を徹底するほか、注入過多による表情筋の麻痺や瞼・眉の垂れ下がりを防ぐため少量ずつの投与が基本となります。

4.ポリ乳酸製剤

パウダー状の製剤を生理食塩水で溶解・攪拌し、真皮深層から皮下組織にかけてムラなく注入します。アレルギーの心配がないためテスト不要で導入でき、数週間おきに経過を見ながら追加投与を検討します。

治療前後のメイクに関する注意

1.治療前

施術前は、低刺激な洗顔料でしっかりとメイクを落とすことが大切です。肌トラブルを抑えるため、アルコール系の洗顔液等は避けるのが安全です。

2.マーキング

シワのラインや凹みにペンで目印をつけます。施術後の落としやすさを考慮し、普段のメイクの濃さや性別に応じて、医療用ペンのほか油性ペンやピアス用ペンを適切に使い分けます。

3.治療とその直後

ベッドに横になった状態で施術を行い、終了後はただちにマーキングを拭き取ります。数分間の圧迫止血で針跡を落ち着かせた後、軟膏やシリコンクリームで保護すれば、直後からメイクを再開できます。患者が化粧品を持参していない場合に備え、院内にも複数色のパウダーを用意しておく工夫が望まれます。

4.治療後の注意

施術後数時間が経過すれば傷口が塞がり感染のリスクが減るため、普段通りのメイクが可能です。赤みが数日〜1週間ほど残る場合はコンシーラーやファンデーションで部分的にカバーできますが、翌日以降は洗顔・メイクとも通常通りのスキンケアに戻すことができます。

実際の症例

メイクだけでは隠しきれない眉間の深い凹み瘢痕(傷跡)に対し、コラーゲン注入を行った事例です。施術直後から凹みの平坦化が見られたものの、若干の針跡と赤みが残りました。その直後に濃いめのパウダーを重ねることで、赤みや針跡を違和感なくカバーし、傷跡を目立たなくさせることに成功しています。

額,眉間,鼻根部の皺のコラーゲン注入の治療前。

治療後、皺が目立たなくなっている。

本稿は、征矢野進一「特集/メディカルケアメイク 皺とり—注入療法による—」(『MB Derma』No.102、全日本病院出版、2005年)を参考に構成しています。

1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。

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