麻酔剤

麻酔剤

治療方法(施術内容・治療について)

<種類>

  1. エムラクリーム(図1)・・長い間用いられてきた麻酔クリームです。乾燥しやすいので、ラップなどでカバーして使います。
  2. ペインブロッククリーム(図1)・・オーストラリアで開発された麻酔クリームです。エムラクリームより乾燥しにくいので、ただ塗って使用します。30分程度で効果が発現します。カブレを起こす成分も含まれているため、事前に試し塗りをおこなった方が無難です。
  3. ペンレス(貼り付けタイプのシート)(図2)・・高濃度のキシロカインを含んだシートタイプの貼り付け式麻酔剤です。30分以上の貼り付けが必要です。汗などで浮いてくると効果が小さくなるため、しっかりと押さえておく事が重要です。
  4. ジェイカインクリーム(図1)・・10%濃度のキシロカインを含んだ、乾燥しにくい基剤のクリームです。カブレることが少なく安全で、使いやすい麻酔クリームです。

<使い方>

 上記4種類の製剤は、ほぼ同等の使用方法です。痛みを軽減したい場所に塗布します。ペンレスは張り付けます。事前に患部を洗浄して皮膚表面の油成分を除去しておきます。 

麻酔が必要な部位に塗ることにより、痛みを軽減します。10分から60分程度使用します。治療を受ける方が痛みに敏感かどうかにより、作用時間が変わります。また治療部位の違いにより長短があります。皮膚が薄いほど時間が短くできます。眼瞼周囲は皮膚が薄いため、比較的短時間で作用します。額・眉間・頬などは皮膚が厚いため30分以上塗布した方が痛みを軽減します。 

<図1>クリームタイプの麻酔剤

 エムラクリーム、ペインブロック、ジェイカインクリームなどの外見は同じです。

 腕に塗布した状態

ジェイカインクリーム.JPG

容器に入れたクリーム

ジェイカインクリーム 2.JPG

<図2>ペンレスシートの麻酔剤

ペンレスシートの外見

ペンレスシート2.JPG

腕に張ったペンレスシート

ペンレスシート.JPG

効果

表面から1㎜程度の深さまで効果が発現します。粘膜は吸収しやすいため、強い効果が得られます。クリームに含まれている成分にもよりますが、クリームを除去してから20分程度は効果があります。コラーゲンなどの真皮層への注入にはとても効果があります。皮下組織まで効果は達しにくいので、ヒアルロン酸のように皮下への注入に適する製剤や、筋肉層への注入が必要なボツリヌストキシン治療には効果が少ないです。ただし針を刺入する時の痛みは軽減できます。

皮膚表面の皮膚腫瘍を切除する場合も効果的です。頸や眼瞼周囲の突出した腫瘍の細い部分を切除するときは、痛みがほとんど消失します。

脱毛レーザー治療でも、皮膚表面の毛がない部分に照射されているときの熱さなども軽減します。脱毛レーザーは色素が濃い部分に作用しますので、毛根の部位は皮下組織にあるため、毛がある部位への麻酔の効果はあまりありません。

色素を除去するレーザー(Q-switch laser)治療時にも用いられます。表面のメラニン色素を含んだ部位には効果がありますが、照射直前によくクリームを除去しておかないと光がブロックされるため、レーザーの効果がおちます。これはペンレスシートでも、張ったままだと光を反射してしまうので、必ず除去します。

デメリット

薬剤にカブレる場合、眼瞼に入る可能性がある眼瞼周囲は避ける(眼にはいるとしみるため。)

基本情報

施術時間20分から60分(薬剤や塗布部位により異なる。)
麻酔・麻酔方法原則可能
通院日原則可能
ダウンタイム20~30分程度
保険適応適応外
注意事項キシロカインに対してのアレルギーがある方は使用できません。その場合は冷却パックや、低温スプレーなどの使用しかありません。
また基剤に含まれる成分に対してのアレルギーもまれに存在します。キシロカイン以外にプリロカインやテトラカインなども含まれるクリームは発赤や腫れなどのアレルギー反応を起こすことがあります。この反応は1カ月以内には軽減します。
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よくある質問

塗布部分がかぶれたり、かゆくなったりしませんか?

薬剤によって違います。プリロカインやテトラカインなどが含まれている場合は数%の方がカブレを生じることがあります。事前に皮膚バッチテストをおこなうと良いかと思います。純粋にリドカインのみですと、ほぼカブレはないようです。

麻酔が効きにくい体質ってあるのでしょうか?

原則ありません。しかし疼痛に感受性が高い場合はまだ痛いと感じるようです。

術後(麻酔が切れたあと)、痛くないですか?

痛みはありません。

麻酔が効かないことはないですか?

皮膚が非常に厚い箇所(掌や足の裏)や表面から1mm以上深い部分を処置する場合。

麻酔をした後は、その日に帰れるのでしょうか?

手術の内容やご相談内容により麻酔の方法は異なりますが、当日中にお帰りいただけます。

持病があるのですが、麻酔をしても大丈夫でしょうか?

麻酔を使用して大丈夫かどうか施術前に患者様の状態を診察いたします。服用しているお薬などがあれば事前にお申し出ください。

表面麻酔をした場合、痛みは感じないのでしょうか?

痛みの感じ方は個人差があります。針を刺入する時の痛みは軽減できます。

手術の途中で麻酔が切れることはないのでしょうか?

原則としてありませんが、効きづらいようであれば、麻酔を足したりするなどして対応いたしますのでおっしゃってください。