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ボトックス注射は、シワやエラ張りの改善など、さまざまな悩みに対して効果のある美容施術の一つです。眉間に寄ったシワが目立たなくなったり、目尻のラインがやわらかく見えたり、フェイスラインがすっきりしたりと、生活の中で「ふと鏡を見たときに嬉しくなる瞬間」が増えていきます。ただ、同時に気になるのが、治療を続けるべきか、それともやめた方がいいのかという疑問です。
美容医療の施術の効果は永久ではなく、時間の経過とともに効果が体内に吸収されていくという特性があります。ボトックスも例外ではなく、打ち続けるか、やめるかの判断に迷う方が多くいます。
ボトックス注射を受けている方の中には、「このまま続けていいのかな」「もしやめたらどうなるんだろう」「ボトックスをやめると老けるって本当?」という疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。シワの改善や小顔効果を実感している一方で、施術を続けることへの不安や、やめた後の変化について不安を感じる人も増えています。
顔には多くの表情筋があり、笑ったり怒ったりするたびに筋肉が収縮します。この繰り返しの動きは、加齢や乾燥、紫外線などの影響で皮膚に折り目がつき、深いシワとして定着してしまいます。
ボトックスは「A型ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)」と呼ばれる成分を使用した製剤です。A型ボツリヌス毒素には、筋肉を動かすときに分泌されるアセチルコリンの放出を阻害し、一過性の筋肉麻痺を生じさせ、筋肉の過剰な動きを和らげる効果があります。この効果を利用して、表情筋の緊張を緩和するために使用され、表情で生じるシワを改善する治療です。
ボトックス注射は、額の横ジワ、眉間の縦ジワ、目尻の笑いジワ、エラの張りの改善に効果が期待できます。額のシワは眉を上げる動作で深くなり、眉間のシワは怒った表情や眉をひそめる癖で刻まれていきます。目尻のシワは笑顔を作る際に現れる、いわゆるカラスの足跡と呼ばれるものです。
ボトックスの効果の持続期間は、3ヶ月から6ヶ月程度が続きますが、個人差があります。筋肉の強さや代謝の速さ、生活習慣などによって、効果が現れる時間や持続する期間は変わってきます。
ボトックス注射の部位ごとに作用の仕方が違うため、それぞれどのような悩みに向いているのか詳しく知っておくと、自分に合った施術を選びやすくなります。
眉間は小さな筋肉が集まっていて、力の入れ方にクセが出やすい場所です。ボトックス注射は、眉をギュッと寄せたときにできる縦ジワを和らげる効果が期待できます。
眉間のシワは怒っているように見えたり、険しい印象を与えやすいため、改善したいと思っている方が多くいます。ボトックスによって筋肉の過剰な収縮を抑えることで、自然な表情はそのままにシワができにくくなります。早い段階からケアをすることで、深いシワになるのを防ぐ効果も期待できます。
目尻は笑ったときに「カラスの足跡」と呼ばれる細いシワが目立つ部分です。目元は皮膚が薄く動きが多いため、年齢に関わらず気にする人が多くいます。目尻へのボトックス注射は、自然な範囲で目の周りの筋肉の動きを一時的に抑えて、ピンポイントで細かいシワにアプローチできるため、優しい印象を保ちながらシワを軽減できます。
おでこを持ち上げて目を開くクセがある人に多いのが、おでこにできる横ジワです。年齢とともに刻まれると深く残りやすい部分ですが、ボトックスで筋肉の働きを整えると、すっきりした額に見えやすくなります。ただし、おでこは驚きや心配、怒りなどの表情をつくるのに使われている筋肉でもあります。量や打ち方を誤ると、前頭筋の働きが弱くなり、まぶたを持ち上げる力が足りなくなり、眉が下がったように見えたり、まぶたが重く感じられることがあります。
エラボトックスは、咬筋という噛む筋肉の発達によって、フェイスラインが四角く見える、エラが張っている人、小顔にしたい人、食いしばりや夜間の歯ぎしりが強い人にお勧めの施術です。発達したエラ部分の咬筋にボトックスを注入することで、エラの緊張を緩め、エラの張った輪郭を改善することができます。
ガミースマイルは、笑ったときに上唇が大きく上がり、歯ぐきが見え過ぎてしまう状態です。鼻の下を持ち上げる筋肉が強く働くことが原因で起こるため、この筋肉に少量のボトックスを注入すると自然に抑えられ、バランスの良い笑顔がつくりやすくなります。
オトガイ筋の働きが強すぎることが原因で、緊張したときや噛みしめたときに、あご表面に梅干しのような細かい凹凸が出る人がいます。あごの梅干しジワは年齢とともに深いシワとして残ることもあります。ボトックスを注射すると、筋肉の過度な収縮が抑えられ、つるんとした滑らかなあごのラインを維持しやすくなります。
首の皮膚を引っ張る広頚筋が強く働いていると、縦に走るラインが目立つようになります。ボトックスで筋肉の緊張を和らげると、首のシワが見えにくくなり、フェイスラインのたるみも改善され、輪郭がすっきり見える効果が期待できます。
ボトックスは汗腺の働きを抑える作用があります。
などの症状を緩和する効果が期待できます。
ボトックス注射に興味があっても、「やめたらどうなるのか」と疑問や不安を抱く方も少なくありません。
ボトックスはやめたことで急に老け込むような状態が起こるわけではありません。ボトックスは筋肉の動きを一時的に抑える薬剤で、効果の持続期間は一般的に3ヶ月から6ヶ月程度です。施術を受けなくなると、徐々に筋肉の動きがもとに戻っていきます。シワが元の状態に再び戻るため「悪化した」「ボトックスをやめて老けた」と感じるかもしれませんが、治療前の自然な皮膚の状態に戻るだけで、製剤の影響で余計に深くなるようになるわけではありません。
眉間や額、目尻などにボトックスを打っていた場合、笑ったり、眉をひそめたりする際の表情筋の動きが戻ってくるため、それに伴ってシワも再び現れる可能性があります。ただし、これはもともとあった自然なシワが戻ってくるだけで、ボトックスをやめたことで新たにシワが増えたり、深くなったりするわけではありません。
エラボトックスの場合、筋肉の張りが徐々に戻るため、フェイスラインが以前の形に近づいていきます。老けるというより、もとに戻るという表現の方が近く、悪化するわけではありません。ボトックスを受けていた期間中に噛みしめる習慣が改善されていた場合は、筋肉の発達が以前よりも抑えられている場合もあります。
とはいえ、ボトックス注射を受ける前に戻るため、人によっては「老けたように見える」と感じてしまいます。これは癖として繰り返し行っていた表情の動きが戻り、眉間や目尻のシワが再び目に入りやすくなるためです。
ボトックス注射を打ち続けていることによる副作用は特にないとされています。
ボトックス注射は、眼瞼痙攣の治療として数十年にわたり使用されてきた歴史があります。適切な施術であれば、長期間にわたり定期的にボトックス注射を打ち続けていても問題が起こることはありません。
ボトックス注射を続けていくことで感じられる変化に、表情のクセが自然とやわらぐようになります。眉間に力を入れる癖や目を細める癖、目尻がキュッと寄りやすい癖が治療を通して緩やかになるため、シワを刻みにくくなります。
ボトックス注射を続けて受けると、まれに体の中でボトックス製剤に対する抗体がつくられ、薬剤が効きにくくなる可能性があります。特に一度に多くの量を注入したり、短い間隔で何度も施術を重ねたりすると、耐性が出やすくなると言われています。
また、ボトックスの効果がまだ残っている状態で追加の注射をしても、効果が強まるわけではありません。薬剤耐性を避けるためにも、ボトックス注射の間隔は最低でも3カ月ほど空けることが望ましいとされています。
同じ部位に短い間隔で施術を重ねたり、適切でない量を注入してしまったり、打つ位置が適切でなかったりすると、表情が不自然に見えてしまうことがあります。表情筋の動きが必要以上に弱まることで、感情の動きが伝わりにくくなったり、顔の表情に違和感が出たりするためです。
顔全体のバランスを考えずに注射が行われた場合、特定の筋肉だけが過度に抑えられ、細かな表情の変化が出にくくなることがあります。
ボトックスを打ち続けた時の皮膚への影響も気になるポイントです。ボトックス自体は皮膚に直接作用するのではなく、筋肉に働きかける薬剤なので、皮膚の質が悪化するということは基本的にありません。ただし、注射による皮膚への刺激や、稀に起こるアレルギー反応などのリスクは理解しておく必要があります。何か異常を感じた場合はすぐに医師に相談することが重要です。
ボトックス注射をやめた後も、日常のケアを整えることがとても大切です。ボトックスによって得られていたハリ感やなめらかさは、薬剤の効果が弱まるにつれて少しずつ元に戻っていくため、日頃のエイジングケアがそのまま肌の支えになるからです。
まず意識したいのが保湿です。乾燥は小さなシワやたるみを目立たせる原因になるため、ヒアルロン酸やセラミドのような水分をしっかり抱え込む成分が入った保湿ケアを毎日続けることで、肌にふっくらとしたハリを与えることができます。肌のバリア機能が整うと、外からの刺激にも強くなるため、放っておけないケアのひとつです。
紫外線対策も忘れてはいけないポイントです。紫外線はコラーゲンを減少させたり、弾力を低下させたりと、老化を加速させる原因につながります。日焼け止めを毎日塗って、外出時には帽子やサングラスで日差しを避けることで、肌へのダメージをしっかり防ぐことができます。
顔のマッサージやフェイシャルエクササイズは、血流促進や筋肉の働きを整える効果があり、すっきりとした印象を保つ助けになります。適切な圧で行うことで、肌負担を避けながら血行を良くし、顔全体が活力ある明るい印象になります。
さらに、食事と生活習慣も内側からのケアとして重要です。抗酸化作用のあるビタミン類やたんぱく質をしっかり摂取することで、肌の再生をサポートできます。十分な睡眠は肌の回復につながり、ボトックスをやめても肌の状態を悪化させにくい環境づくりに役立ちます。
ボトックスは注入する量や部位によって仕上がりが大きく変わるため、経験のしっかりある医師が在籍しているかどうか、症例の実績は十分か、丁寧にカウンセリングを行っているかなどを確認するようにしましょう。
カウンセリングでは、ご自分が気になっている部分や目指している仕上がりのイメージをしっかり伝えることが大切です。医師は表情筋の動き方や肌の状態をチェックしながら、適切な注入量や施術ペースを提案してくれます。希望と現実的な仕上がりのバランスを丁寧に擦り合わせることで、自然で違和感のない仕上がりに近づきやすくなります。
また、使用する製剤についても確認しておきたいポイントです。クリニックによっては複数の製剤を取り扱っていることもあるため、効果の出方や持続期間の違いについて医師から説明を受け、自分の状態に合ったものを選ぶとよいでしょう。
施術を受ける際には、注射量が不必要に多くなっていないか、短い間隔での施術になっていないかにも注意が必要です。注入量を増やしたり、過度な頻度で施術を受けたりすると、表情が不自然に見えてしまったり、薬剤が効きにくくなる耐性が生じる可能性があります。医師と相談しながら、適度なペースを守るようにしましょう。
施術後は、強いマッサージを避ける、激しい運動を控えるなど、製剤が安定するまで過ごし方に配慮するだけで仕上がりの質が変わってきます。
美容治療において大切なのは、不自然にならないことです。ボトックスは適切に使用すれば表情を自然に保ちながらシワを改善できる優れた治療法ですが、過度に依存したり、不適切な施術は、かえって不自然な見た目になってしまう理由にもなります。
美容医療は「長く付き合っていく治療」として考えると、メリットも理解しやすくなります。ご自分の悩みや生活とのバランスを考えて決めていくことが一番です。
1952年(昭和27年)12月29日、長野県木曽福島町に生まれる。1967年(昭和42年)4月に長野県上田高等学校へ入学、高校在学中の1970年(昭和45年)8月から1971年(昭和46年)7月までアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミルトン・アカデミー高校へ留学、同年7月に卒業した。1972年(昭和47年)3月に上田高等学校を卒業後、同年4月に東京大学理科三類へ進学。東京大学では医学を専攻し、1979年(昭和54年)3月に東京大学医学部医学科を卒業。